かなり前の映画ですが、ちょっと一言、
1990年に公開された「プリティーウーマン」は大人気でしたが、歯科医の私から見てアメリカ社会においての歯の価値観がよくわかる映画であったことをご存知でしょうか。映画のストーリーは皆さんもご存知のように一流の資産家エドワード(リチャード・ギア)とストリートガールのビビアン(ジュリア・ロバーツ)の社会的格差があるカップルのシンデレラストーリーです。
では、エドワードがビビアンのどこに魅力を感じた、もしくはビビアンが一流の女性になる可能性をどこに感じたのでしょうか?
それはエドワードが宿泊しているホテルのペントハウスにビビアンが始めて訪れ、ルームサービスのシャンパンとイチゴを食べた後です。ビビアンが「ちょっと待ってね。シャンパンに酔ったみたい」と言って洗面所からなかなか出てこない。そのことをエドワードは不審に思い、洗面所をのぞくとビビアンは何かを隠します。エドワードはそれをドラッグと思い手をこじ開けるとフロス(上の写真のバトラー製のフロス)でした。ビビアンは「歯磨きは欠かさないのよ」といってフロスを再開します。エドワードは「キミにはビックリさせられる」とその姿を微笑みながら見つめます。
また、別れの時にエドワードは「デンタルフロスが必要なときには電話をくれ」といってビビアンに名刺を渡してホテルのペントハウスから送り出します。
このように、この映画の重要なシーンにフロスに意味を持たせています。
アメリカ社会で歯が健康であることは、肥満でない、喫煙はしないと同様に、上流階級や知的階層においての必須条件とされています。なぜなら、健康はステイタスであり、欲望を自制し規律がある生活習慣や自己管理ができる精神力が備わっていることが上流階級で認められる要素なのです。
ビビアンが歯を大切にしようとする女性で、どんな状況でも、歯を大切にするために歯磨きだけでなくフロスをする習慣があることを見て、上流階級での価値観を備えた女性だと判断したのだと思われます。また、そのような価値観を持ち続けてほしいというメッセージとして、「デンタルフロスが必要なときには電話をくれ」といったのではないでしょうか。
日本において、このような考え方は少ないとは思いますが、
近い将来の日本においても、フロスを一生懸命して歯を大切にしていることが、その人の価値観を決める条件の一つになるかもしれないと感じている歯科医の私です。みなさん、ぜひともフロスの習慣をつけましょう。もしかしたら???