治療内容、治療のリスクと副作用に関して

歯科治療は治療後に悪くなるリスクがある
歯が悪くなる主な病気はムシ歯と歯周病、咬みあわせです。
ムシ歯と歯周病は細菌が原因で発症し歯を失ってしまう病気です。また、上下の歯は食事の時、唾を飲み込む時に何度もぶつかり合います。その上、歯軋りやくい縛りがある方は歯に通常以上の無理な力が加わります。このようなことが長年に渡って続くことは、歯が磨り減る、欠ける、割れることのよって、歯の寿命を短くし歯を失う場合もあります。その他にも加齢による唾液量の減少、免疫力の低下、糖尿病などの全身疾患によってもお口の病気が悪化する可能性があります。
歯科治療とはそれらのリスクを最小限にすることで、歯を可能な限り長く使えるようにするための治療と管理です。しかしながら、治療が完了したからといって歯を悪化させる原因を無くしたわけではないので、常に歯が悪化するリスクがあるとことを理解しておく必要があります。
つまり治療した歯もムシ歯や歯周病、咬む力によって壊れる、治療した材質の経時的な変化というリスクがあるのです。

ムシ歯の治療後のリスクに関して
1、ムシ歯は細菌が糖分を分解して酸を産生し歯を溶かす病気です。そのため、日々の食習慣とお口の衛生管理と深い関係があります。
2、治療が完了しても糖分の摂取量と回数、時間が増えればムシ歯が再発するリスクがあります。冠や詰め物はムシ歯にはなりませんが露出している歯の部分はムシ歯になるリスクがあります。また、お口の管理を怠るとムシ歯になるリスクがあります。このように新たにムシ歯ができたことによって治療した冠や詰め物を再製しなければならないリスクがあります。
3、糖分を含んだ飲料水やスポーツドリンクのような酸性が強い飲料を長時間飲み続けることは、虫歯のリスクを高くすることになります。

歯周病治療のリスクに関して
1、歯周病は細菌が出す毒素によって歯ぐきが炎症を起こし、歯槽骨(歯を支える骨)が溶けることで歯を失う病気です。また、歯周病は再発するリスクが高いので継続的な予防管理が必要です。
2、歯周病と咬み合わせは密接な関係があります。歯周病が進行して歯槽骨(歯を支える骨)が少ない場合には歯に無理な力が加わることで歯槽骨に悪い影響を与えてしまうリスクが増えるため、定期的な咬み合せのチェックと調整が必要です。
3、歯周病治療によって歯がしみることが増える場合があります。歯の根に付着した歯石などを除去し、歯ぐきの腫れと歯周ポケットが少なくなったことで歯の根が露出することで歯がしみることが起こる場合があります。歯のしみが強い場合にはしみることを抑制する処置をしながら経過を見ますが、しみが強く我慢できない場合に歯の神経を取らなければならないリスクがあります。
4、歯周病が完治して安定した時にムシ歯が起こりやすくなるリスクがあります。特に歯周病治療によって歯の根が露出した場合には歯の根の部分は歯の冠の部分よりムシ歯になりやすく、根の形態は複雑で清掃しにくいためムシ歯のリスクが増えます。また、歯周病が完治することで歯周病の細菌が減少し、ムシ歯の細菌が増えてしまう場合もあり、このことでもムシ歯になりやすくなるリスクがあります。

審美治療のリスクに関して
1、治療後に歯ぐきの退縮(歯ぐきが下がる)によって冠の歯と歯ぐきの境目が露出することで審美的に問題が生じるリスクがあります。このことは予測することが難しく、歯周病の進行が抑制され歯周組織が安定している場合でも、加齢や咬み合わせの変化によっても起こるリスクがあります。
2、咬むことは毎日繰り返されるため歯は常に磨り減ります。咬む力が強い、硬いものをよく食べられる場合や歯軋りくい縛りが多い方は歯の磨り減りが起こるため咬み合わせが短期間で変化するリスクがあります。このように歯が磨り減ることや咬み合わせが変化することによって修復した冠や詰め物が割れるリスクもあります。また、歯を長期使用するために無理な力が加わらないような咬み合せの調整が行われますが、調整量が多くなることで、歯の形態が変わることや金属が露出することで審美的に問題が生じるリスクがあります。
3、陶材やジルコニアは材質の劣化による着色は起こりませんが、レジン、ハイブリッド等の材料で修復した場合には材質の劣化と共に変色するリスクがあります。また、ご自身の歯の色が経時的に変化することで、色が変わりにくい材質との色の差が出るリスクがあります。

インプラント治療のリスクに関して
1、インプラントは歯を失った部分の顎の骨に穴を開けて、歯の根となるチタン製の部分を骨の中に埋め込み、その周囲を骨が再生することでチタン製の歯の根と顎の骨が一体化することで新たな歯ができたように使うことができる治療方法です。この時、チタン製の歯の根を骨の中に埋めた時に周囲に骨が再生されないリスクがあります。
2、インプラントは確立された治療方法ではありますが、歯とは異なりあくまで人工物なので予測が難しい点があります。インプラントは歯で咬んだ時に感じる神経が無いことと、骨にしっかり固定されているため咬み過ぎるという副作用があります。このような場合はインプラント部の冠せが壊れる、咬み合う歯に問題を起こる、治療していない歯にも今まで以上の力が加わり問題が起こるリスクがあります。
3、インプラントは歯よりも歯周組織の抵抗力が弱いため常に歯周病のリスクがあります。その上、歯周病になると進行が早いこともリスクなので定期的なチェックが必要です。
4、歯周組織が安定していても予想外に歯周病が進行するリスクがありますので、定期的な検診と何か気になることがあれば、すぐに歯科医に相談することが大切です。

矯正治療のリスクに関して
1、矯正治療後にはキレイな歯並びになるのですが、治療が完了した後に後戻りというリスクがあります。歯は咬み合せ、舌、頬粘膜、口唇などの周囲の組織の力によって歯が動かされるリスクがあるので矯正治療後はリテーナーを必ず入れて歯が動かないように固定しておく必要があります。
2、お口の中に矯正装置が入ることによって日々のお口の衛生管理が難しくなる場合にはムシ歯や歯周病が進行するリスクがあります。
3、咬み合わせが変わることによって顎関節への負荷による顎関節症が発症するリスクがあります。
4、埋まっている智歯(親知らず)が残っている場合には智歯が生える力で全体の歯並びが変化する可能性があります。

根管治療のリスクに関して
1、根管治療とは歯髄(歯の中心部にある一般に神経といわれている血管、リンパ管、神経組織)を治療することです。
2、歯髄は歯に栄養を与えており、歯を長く使うためにはいる大切な役目があるので、可能な限りこの組織は保存することが大切なのですが、ムシ歯、悪化した歯周病、外傷などによって歯髄に問題が起こった場合にはこの組織を取り除くことになります。その場合は歯が弱くなり歯が割れるリスクがあります。
3、歯髄は歯の中心部の細い管の中にあり形態が複雑で細かい枝わかれもあります。そのため、管の中を直接見て確認することが難しため、歯髄組織を確認しながら全て取り除くことはかなり難しいことです。このようなことから歯科治療の中で難易度が高い治療です。また、歯髄を失ったことによって歯が弱くなり、歯が割れる可能性も高くなります。以上の点から治療後に問題が起こる確率が高い治療なのです。

顎関節治療と咬み合わせ治療のリスクに関して
1、顎関節症は顎の関節は下顎の顆頭(凸)部が上顎の窩(凹)と、その間に関節円盤(軟骨)が正常な位置関係でない場合や、顎関節に無理な力が加わったときに問題が起こる病気です。また、顎関節が何らかの原因で変形する場合は全体の咬み合せに変化が起こる場合があります。このようなことは、常に起こる可能性があります。
2、お口全体の咬み合わせの治療したことで咬みやすくなるため、咬む力が増す副作用があります。このことによって歯に加わる力が治療前より増えるため、個々の歯への負担が多くなり、歯が欠けたり歯が割れたりするリスクがあります。特に歯の神経を失われた歯はそのリスクが増えます。
3、咬むことは毎日繰り返されるため歯は常に磨り減りますし、強く咬まれる場合や歯軋りくい縛りが多い場合は歯の磨り減りが短期間で起こるため咬み合わせが変化するリスクがあります。そのため、定期的な咬み合せのチェックと調整が必要です。
4、咬み合せの治療後に咬み合せが変化することで新たな問題が起こるリスクがあります。そのため、顎関節や歯を保護するためのマウスピースを使用していただくことがあります。基本的には就寝時に使用していただくのですが、就寝時以外で強く咬まれることに気付かれた場合はできるだけ、咬まないように注意していただかないと歯や顎関節の問題が起こるリスクがあります。





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