「矯正歯科治療」と聞かれて思い浮かべるのは、歯に小さな装置と針金を付けて治療する方法ではないでしょうか。最新のマウスピースを使った「インビザライン」矯正は透明素材のマウスピースを使った矯正治療なので治療中に使い取り外すことが可能な矯正治療です。「矯正治療が目立つ」と治療をためらっている方でも安心して治療が始められます。
2018年6月12日
最新の矯正歯科「インビザライン」
インビザラインは目立たないので接客業や営業職の方におすすめ
インビザライン矯正で使われるのは透明のマウスピースです。そのため、装着していても、ほとんど他人に気づかれることはありません。矯正治療中でも、口元を気にせず歯を見せて笑うことができます。「矯正装置が目立つのが気になる」「人前での食事は食べ物を選ばなければならない」などの理由で矯正治療をためらっていた方のための治療方法です。また、マウスピース型なので簡単に取り外せるので、どうしてもという時には一時的に外すことができます。このように、人と接する機会が多い方にはインビザライン矯正をおすすめしたいのです。
通院回数が少ない
従来のワイヤー矯正は通常2~4週間に1回の通院が必要ですが、インビザライン矯正は1~3ヶ月毎に通院していただければ矯正治療が可能です。検査、矯正治療開始時、IPR(歯と歯の間を削る)の治療、経過の確認以外は、ご自宅で新しいマウスピースに7~14日に1回交換して頂き治療を進めてきます。そのため、遠方からご来院される方、お仕事が忙しい方でも無理なく矯正治療を行うことができます。
治療中の傷みやトラブルが少ない
従来のワイヤー矯正は装置が外れることや装置が口の中の粘膜に当たって「痛む」「口内炎ができる」などのトラブルがありますが、インビザライン矯正ではこのような緊急を要するトラブルは殆どないことも特徴です。
過去にワイヤー矯正を経験された方がインビザラインで矯正がよいと思う点を尋ねると、多くの方が痛みを感じることは殆ど無いと答えられます。
ワイヤー矯正の場合は歯が動くことで咬み合わせが常に変化します。そのため、一部の歯に外傷のような無理な力が加わり歯に傷みを感じることが多いのです。また、ワイヤー矯正では凹凸のある矯正装置が、口腔の粘膜を傷つけてしまうため口内炎ができやすく、治りにくいことも痛みの原因です。
ところが、インビザライン矯正では歯が常にマウスピースで覆われているため歯の移動に伴う歯への外傷も少なく、口腔の粘膜を傷つけることがないので傷みを感じることが少ないのです。
食べたい物が食べられる
従来のワイヤー矯正では、ワイヤーや装置に絡みつきやすい食べ物やワイヤーや装置が壊わしてしまうような食べ物は避けるか注意する必要があります。インビザライン矯正では食事中はマウスピースを外していただきますので食事の制限はありません。食材を選ばず何でも好きな物が食べられまので、矯正治療中でもいままでと同じ様に食事をすることができます。また、飲み物の場合、水であれば、マウスピースをしたまま飲んでも全く問題ありません。
過去にワイヤー矯正を経験された方がインビザラインで矯正がよいと思う点を尋ねると、多くの方は食事制限が無いことだと答えられます。
治療結果と歯の動き方の確認ができる
インビザライン矯正では、「クリンチェック」と呼ばれるコンピュータ画像での3Dシミュレーションを用いて治療計画が作成します。そのため治療開始から完了まで、どのように歯が動いていくのかをご自身で確認することができます。この治療計画を様々な角度から詳しくご確認いただいたうえで、治療を始めるかどうかご自身で判断して頂くことができます。万が一、「クリンチェック」で理想とする歯並びにならないことがわかれば、矯正治療を開始しない選択も可能です。
従来の矯正では矯正医の頭の中にあり、どのように歯が動くのか、治療完了時の歯並びを目に見える形でお見せすることができませんので、治療計画を可視化できることは画期的なことで、インビザライン矯正ならではのシステムです。
治療中も同じ歯磨きの方法で予防ができる
ワイヤー矯正では歯に装置とワイヤーが取り付けられているため特別な清掃方法が必要ですし、時間がかかります。インビザライン矯正ではマウスピースは取り外せるので、ストレスなく今まで通りの歯磨きやフロスができます。そしてマウスピースも丸ごと洗浄できるので毎日清潔に保つことができます。そのため、矯正治療期間中も従来通りのお口の衛生管理でムシ歯や歯周病の予防はすることが可能です。
過去にワイヤー矯正を経験された方がインビザラインで矯正がよいと思う点を尋ねると、多くの方は治療中でも短時間で簡単に歯磨きができることだと答えられます。
スポーツや楽器の演奏も可能
インビザラインは矯正治療中であってもサッカー、柔道、空手、ラグビーなどのコンタクトが強い運動が可能ですし、多くの楽器の演奏も可能です。
従来の矯正装置のように歯に装置やワイヤーが装着されるのではなく、一部の歯に小さな白い突起しか取り付けられません。そのため、コンタクトが強い運動において矯正装置で口腔粘膜を傷つけることは少なく、マウスピースを装着したままでの運動も可能です。また、通常のスポーツ用のマウスピースのように歯を守る能力はありませんが、アライナーが歯を覆うことで、ある程度の歯の保護にはなります。
マウスピースを外せばほぼ元の状態になりますが、口を使う楽器の演奏では歯が移動することによる影響があります。必要に応じてアライナーを外しての演奏も可能ですが、装着時間が短くなる場合は交換時期を長めにする必要がありますので、これらのことを相談され理解された上で矯正治療の時期や矯正治療の方法を選択されることをおススメします。
マウスピース型治療では世界一(800万人以上の治療実績)
「インビザライン」は米国アライン・テクノロジー社が1999年から提供を始めたマウスピース型カスタムメイドの矯正歯科の装置で、日本では2005年から導入されました。透明なマウスピースを使用するので目立ちにくく、取り外し可能な矯正装置として全世界に広がり、2020年1月現在、世界100ヶ国以上の国々で800万人以上の方が治療を受けられている治療実績世界一のマウスピース矯正です。
矯正学の学術専門誌(AJO、JCOなど)においてもインビザライン治療に関する論文が多数発表されています。米国で実施されたアンケートでは、「インビザライン治療に『きわめて満足』もしくは『非常に満足』」と回答した患者様の比率は87%でした。また「インビザライン治療を知人にすすめますか?」の質問には、『間違いなくすすめる』もしくは『すすめる可能性が高い』と回答した患者様は89%でした。
薬事認証について
インビザラインは、カスタムメイドのマウスピース型矯正装置として世界100か国以上、800万人以上の治療実績があります。(2020年1月末現在)FDA(アメリカ食品医薬品局)の医療機器として認証を受けており、ISOを取得している最新の工場で製造されています。
日本国内ではカスタムメイドのマウスピース型矯正歯科装置は、市場流通性がないことから薬事法上の医療機器にも、歯科技工法上の矯正装置にも該当せず、医薬品副作用被害救済制度が適用されない場合があります。インビザラインのマウスピース材料自体は日本の薬事認証を得ており、アレルギー等に関する安全性は確保されています。
インビザライン矯正の進め方
Step1.相談
矯正治療に対するご希望を伺った上でインビザライン治療の流れ、治療期間や費用と支払い方法などをご説明いたします。不安や疑問に思われることは、何でもご質問ください。
Step2. 口腔内検査と解説相談
矯正期間中に問題が起こらないようにムシ歯、歯周病、歯の根の状態、智歯(親知らず)の詳しい状態を知るために歯型、口腔内写真、レントゲンなどお口全体の検査を行ないます。(検査費用は保険の一部負担金)検査資料を基に矯正治療の概要をお話します。
Step3.矯正治療前に必要な治療と予防
矯正期間中に問題が起こらないための必要な治療とムシ歯や歯周病にならないための予防処置を行います。
Step4.インビザライン矯正の検査と治療計画
インビザライン矯正のために歯の型取り、咬みあわせ、お口と顔の写真など矯正治療に必要な検査(¥30,000-)を行ない、3Dシミュレーションのコンピュータ画像(クリンチェック)を作成します。治療内容と治療開始から完了まで、どのように歯が動いていくのかをご自身で確認していただき希望にあった治療計画を作成します。
Step5.インビザライン矯正治療の開始
インビザライン矯正(総額¥720,000-)が開始すると、アタッチメントの装着(一部の歯に小さな白い突起)、IPR(一部の歯と歯の間を削る)、経過観察以外はご自宅で新しいマウスピースに交換(7~14日毎)して頂き治療を進めます。また、矯正治療期間中はムシ歯と歯周病にならないような予防管理を行います。
Step6. 追加アライナー
一部の歯が予定通りに動かない場合や、最終の微調整が必要な場合は再検査を行ない、その資料を基に治療計画を修正して新たなマウスピースを製造します。追加アライナーの費用は必要ありませんが少し時間がかかります。治療期間中に2~3回の追加アライナーが通例です。
Step7.咬み合せの調整
矯正治療で歯を動かせるのは最大で0.5mm位までです。歯の感覚は髪の毛を咬んでもわかるくらい繊細で20μ(0.02mm)以下といわれます。そのため、矯正治療後は機能的にも良好な上下の歯の咬み合せのための調整を行います。
Step8. 保定
矯正治療後は歯の位置を安定させるためにリテーナー(¥40,000-)を装着します。治療直後は長時間の装着が必要ですが、最終的には夜間だけの装着になります。矯正治療を行った場合は歯が動きやすいのでリテーナーの装着は必要です。
Step9.メインテナンスと検査
治療後の状態を維持するために定期的なチェックとクリーニングを行ないます。また、数年に一度は問題を早期に発見するための検査を行います。定期的な検査によって経時的な変化を確認できます。
インビザライン矯正を失敗しないために
マウスピースの装着時間
マウスピース装着時間は22時間以上ですが、食事の時以外はマウスピースを装着していただくことが大切です。マウスピースを装着した時しか歯は動きませんし、マウスピースを外した瞬間から歯が元の位置に戻ろうとします。そのためマウスピースを常に装着できる方しかできない矯正治療です。
マウスピースをフィットさせる
歯にマウスピースがしっかりフィットすることで歯を動かすため、マウスピース装着時にチューイーズなどの補助道具を使用して歯にマウスピースにフィットさせることが必要です。また、マウスピース装着後は前歯、奥歯などでしっかり咬みこむことも大切です。
顎間ゴムなどの補助器具の使用
歯を動かすための補助器具としてゴムやテープを使用する場合があります。歯の動かし方によって使用する道具と使用時間が決まりますので必ず守っていただくことが大切です。良い治療結果や治療期間を短縮するためには必要です。
リテーナーの装着
矯正治療後の歯の位置を安定させるためにリテーナーの装着が必要です。矯正治療を行った場合には歯が動くリスクが高いので治療後の状態を維持するためにはリテーナーの装着は必須です。
私がインビザライン矯正を薦める理由
インビザラインは、一般的に装置が目立たず取り外しができる点を強調されます。しかしながら私のような顎関節、咬み合わせ、修復治療を主としている臨床家にとっては、インビザライン矯正の方が有利な点が多いのです。
1)常に進化し続けています
従来矯正治療では個々の先生の実験や経験によって改善されてきましたが、インビザライン矯正は世界中から送られてくる莫大なデジタルデータから、その成功例と失敗例をAIが分析し、より良い治療方法を考え改善され、進化し続けています。
2)歯と顎関節への負担が少ない
歯を動かす時に最も効率よく移動させ、治療中に上下の歯を接触させないように進めていくので、歯への負担が軽減されます。また、矯正装置がマウスピースなので顎関節への負担も軽減されます。
3)治療のシミュレーションが可能なので様々な治療方法の選択と情報の共有が可能
治療過程と治療完了時の歯並びや歯並び、歯を抜くなどの治療方法による違いを事前に画像で比較しながら確認することが可能です。また、データの共有が可能なので治療計画を他の先生が確認することも可能です。当院では、アジア地区のトップドクターで、長年インビザラインの研究に携わっている先生と連携して当院独自の診断システムを確立し、正確な診断を行っています。
4)理想的な咬み合わせが可能
歯並びだけではなく上下の歯の咬み合わせの状態まで事前にシミュレーション可能なので、個々の状態(歯の大きさ、形、修復など)に適応した咬み合わせに対応することが可能です。
インビザライン治療におけるリスクと注意点
ムシ歯と歯周病
インビザライン矯正は歯をマウスピースで覆うためマウスピースと歯の間にムシ歯菌や歯周病菌が増殖しやすく糖分が滞留しやすい環境になるためムシ歯や歯周病が進行するリスクがあります。お口とマウスピースのお手入れと、定期的なチェックとクリーニングが必要です。
矯正治療中の食事
インビザライン矯正での食事の制限はありませんが、食事が終わったら必ず歯磨きをしてからマウスピースをはめてください。但し、歯の移動に伴って食べ物がつまり安いので注意が必要です。
水であれば、マウスピースをしたまま飲んでも全く問題ありませんが、糖分を含んだ飲み物や酸性が強い(スポーツドリンク)は虫歯の原因になるので、マウスピースを外して飲み、飲んだ後はすぐに歯磨きをしてからマウスピースをはめてください。
会話
マウスピースをはめることで喋りにくさと、相手が聞き取りにくいと感じる場合があります。裏側のワイヤー矯正(舌側矯正)と比較すると慣れられるまでの期間は短いですが、重要な面接やプレゼンの際には、マウスピースを外してください。但し、マウスピースの装着時間がかなり短くなってしまう方は、マウスピースの交換のタイミングを少し遅らせて頂く場合があります。インビザライン矯正はマウスピースを装着して頂かないと歯は動かないことを十分に理解していただくことが大切です。