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咬み合せの歴史  その20

少し専門的な解説です。
「咬み合せの歴史」を書くに際し、大阪歯科大学図書館が所蔵している咬合、顎関節、総義歯の書籍と関連する学会誌約350冊に加えて、「オクルージョンの臨床」第2版の訳者の川村貞行先生から頂いた1900年代初頭からのアメリカで発表された咬合に関する論文、初期のナソロジーの大家の舘野常司先生から当時のお話と資料を頂き、金属焼付けポーセレン開発者の桑田正博先生からも当時のお話と資料を頂きました。
これらの情報を年代別に分類分析し、咬合理論の経時的変化を踏まえてまとめています。
図15.jpg 咬合平面分析板.jpg
PMS、Dawson その⑦
1950年アラバマ大学で教職にあった Arvin W. MannはPankeyの咬合のリハビリテーションに興味を持ちました。Mannが、この分野の高度な教育背景を持っており、非常に意欲的だったので、Pankeyは共同研究することにしました。
Mannは「私たちはこの方法を歯科医業のために完成しなければならない」「技術を学習し、整理統合し、自分の商品棚におかねばならない」と言い続け3年を費やしてPankeyが蓄積した咬合理論とその技術を整理統合し、モンソン咬合器のかわりにP-M Instrumentを開発しました。
1954年P-M Instrumentを使った臨床の結果を確認し、PMマニュアルを発表しました。
「このテクニックは理解してしまえば、それほど難しいものではない、一般開業医が殆どの症例に上手に活かせる」「最適に咬合を調和させるために必要なことは何でも叶えてくれる」
しかし、「患者が何を必要としているのか見極め、その要求を満たすのは歯科医師の大きな責任である」
とも表現しています。
PMS、Dawsonの治療方法の特徴は下顎の前歯の位置から決定します。次に上の前歯の位置を決める時に下顎の前歯が咬み合う上の前歯の舌側の形態を決めます。この時に最大咬頭嵌合位と下顎を動かした時の上下前歯の当たり方(前歯でのガイド)を決定します。次に下顎の咬み合せの位置を決めるのに使用するのがP-M Instrument(上記の写真左)です。
当時のPMS、Dawsonの理論は非作業側の接触が無く、作業側のみのフルバランスです。このような咬合接触を付与するためには適度な咬合湾曲が必要だったため、その湾曲を下顎に付与するために開発された器具です。後に、この器具はBroadrick咬合平面分析板(上記の写真右)に換わりました。
余談ですが、当時のナソロジーは臼歯をフルバランスで修復した後に上下前歯を修復していたのでPMS、Dawsonの治療順序とは全く異なっていました。