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咬み合せの歴史  その23

少し専門的な解説です。
「咬み合せの歴史」を書くに際し、大阪歯科大学図書館が所蔵している咬合、顎関節、総義歯の書籍と関連する学会誌約350冊に加えて、「オクルージョンの臨床」第2版の訳者の川村貞行先生から頂いた1900年代初頭からのアメリカで発表された咬合に関する論文、初期のナソロジーの大家の舘野常司先生から当時のお話と資料を頂き、金属焼付けポーセレン開発者の桑田正博先生からも当時のお話と資料を頂きました。
これらの情報を年代別に分類分析し、咬合理論の経時的変化を踏まえてまとめています。
図17.jpg 図12.jpg     
PMS、Dawson その⑩
1973年Dawsonは中心位を提唱し関節窩における最適の顆頭位置を最上位とし、その決定法を発表した。また、補綴学用語集に用語中心位が再定義されます。これがDawson法といわれる下顎を中心位へ誘導する方法ですが、資料をたどればDawsonは1960年初頭(上図右)からこの誘導法を使っていたようです。
そして、1974年Dawsonは、日常臨床を通じてPMSの方法論を論理的かつ科学的に分析する過程でSchuylerと議論し、全咀嚼系の問題の診断と治療に発展させそれらの集大成として「オクルージョンの臨床」(上図左)を出版します。
つまり、 Schuylerの理論を基礎にPankeyが治療法を考案し MannがまとめたPMS理論をが科学的に立証したのがこの書籍です。
この書籍はPMS理論を基礎としていますが、Dawson とSchuylerが夜を徹して議論し、Dawsonの理論に従ったのが下顎運動時の咬合理論です。Schuylerは1961年から作業側の中切歯から最後臼歯までの全ての歯牙によって側方圧を分担させる(その他の歯は離開させる)グループ・ファンクションド・オクルージョンを提唱していましたが、Dawsonによって作業側の前歯によって臼歯を離開せるアンテリア・グループ・ファンクションが最善であると変更しました。
余談です。
Dawsonは、PMSの咬合理論はPankeyの診療哲学である診査診断から患者教育、治療手法、経営から歯科医としての人生哲学にまで及ぶ診療哲学を実践するため理論の一部であると考えました。
DawsonはPankeyの哲学を自分の生き方とし、その哲学を忠実に実行し彼自身の言葉で思想を語り、独創的に発展させてきました。PMSの方法論を「なぜ」という問題理由と治療理由を単純化することで
「どのように」治療すればよいかを明確にし、シンプルにするための方法論を論理的かつ科学的に分析しました。