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咬み合わせの歴史歯科治療
咬み合せの歴史 その26
少し専門的な解説です。
「咬み合せの歴史」を書くに際し、大阪歯科大学図書館が所蔵している咬合、顎関節、総義歯の書籍と関連する学会誌約350冊に加えて、「オクルージョンの臨床」第2版の訳者の川村貞行先生から頂いた1900年代初頭からのアメリカで発表された咬合に関する論文、初期のナソロジーの大家の舘野常司先生から当時のお話と資料を頂き、金属焼付けポーセレン開発者の桑田正博先生からも当時のお話と資料を頂きました。
これらの情報を年代別に分類分析し、咬合理論の経時的変化を踏まえてまとめています。
オクルージョンの考察 : 臨床へのアプローチFrank V.Celenza ; John N.Nasedkin共編 ;
1976年開催された「Occlusion Focus Meeting」の詳細をまとめた書籍が国内では、1980年にオクルージョンの考察 : 臨床へのアプローチとして翻訳本が出版されています。
私は、このミーティングは咬合理論の歴史の中で最も重要かつ意義な議論だと考えています。
この書籍の序文に「埋もれた知識自体は何の価値も無いが、広められた知識は値踏みできないほど貴重である」とあるように咬合理論を徹底的に討議され、一致した点と不一致の点を明確にしたことが最も価値ある情報だと考えられます。
私が重要かつ価値があると思えたもう一つが咬合理論を3つのポイントに絞込んだことです。
一般的に咬合理論は難しいと多くの歯科医から聞きます。しかしながらこのミーティングで議論された3つのポイントは咬合理論を理解する上で最も重要なポイントであり、この3点さえ理解すれば咬合理論の基本が網羅されるのでシンプルに理解できます。私の認識では咬合理論が難しいのではなく、個々の患者ごとへ応用するための診査診断と字の理論を臨床に活かすための技術とが難しいと考えています。
余談ですが、この書籍の翻訳者の津留宏道先生は広島大学歯学部歯科補綴学第一講の教授で、歯学部附属病院長、歯学部長を歴任されてきた偉い先生です。たまたまなのですが、ご子息は私の大学時代の同級生でした。しかも、出席番号が近かったので一緒に楽しい大学生活を過ごしています。