ブログ
咬み合わせの歴史歯科治療
咬み合せの歴史 その30
「咬み合せの歴史」を書くに際し、大阪歯科大学図書館が所蔵している咬合、顎関節、総義歯の書籍と関連する学会誌約350冊に加えて、「オクルージョンの臨床」第2版の訳者の川村貞行先生から頂いた1900年代初頭からのアメリカで発表された咬合に関する論文、初期のナソロジーの大家の舘野常司先生から当時のお話と資料を頂き、金属焼付けポーセレン開発者の桑田正博先生からも当時のお話と資料を頂きました。
これらの情報を年代別に分類分析し、咬合理論の経時的変化を踏まえてまとめています。
「Occlusion Focus Meeting」において
Ⅱ「咬頭勘合位の最適の特徴」の結論 その②
最大咬頭嵌合位において自由度はナソロジーグループが無し、PMS,Dawsonグループが有りですが、その違いはその咬合理論の歴史と咬合面形態から理解できます。
ナソロジーグループの歴史は総義歯より精度の高い中心位を求め、最大咬頭嵌合位と一致させることと、より正確な中心位を計測するために1920年初頭にMccollmは、変化しない回転軸を求めてターミナル・ヒンジアキシスの理論を考え、1927年その回転軸の中心を計測するためのフェイスボウを開発しました。1950年P.K.Thomas は最大咬頭嵌合位においての修復するための咬合面形態と咬合接触点を考案しました。その結果が下記の左側の咬合面形態と咬合接触です。
一方PMS,Dawsonグループは1928年のSchuyler の論文では中心位と最大咬頭嵌合位と一致し自由域を設ける(long centric)としました。その結果が下記の中と右側の咬合面形態と咬合接触です。
このようにナソロジーグループと、PMS,Dawsonグループの咬合理論の基礎の部分が異なるため、最大咬頭嵌合位において自由度の見解が異なります。