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咬み合わせの歴史歯科治療
咬み合せの歴史 その42
少し専門的な解説です。
「咬み合せの歴史」を書くに際し、1911年に創立した大阪歯科大学の図書館が所蔵している咬合、顎関節、総義歯の書籍と関連する学会誌約350冊に加えて、「オクルージョンの臨床」第2版の訳者の川村貞行先生から頂いた1900年代初頭からのアメリカで発表された咬合に関する論文、初期のナソロジーの大家の舘野常司先生から当時のお話と資料を頂き、金属焼付けポーセレン開発者の桑田正博先生からも当時のお話と資料を頂きました。
これらの情報を年代別に分類分析し、咬合理論の経時的変化を踏まえてまとめています。
日本国内での咬合理論の歴史 ナソロジー ②
国内で最初のナソロジーの書籍
1970年に出版された「ルシアのオーラルリハビリテーション」がナソロジー理論を掲載した始めての書籍だと思われます。この書籍は1967年11月に当時のナソロジーの中心メンバーであるLuciaを招いてのゼミナールの内容がまとめられています。記載されている写真から中心位へ誘導する方法はLuciaのジグを用い、座位でオトガイを強く押していることから、顎位は最後方位のターミナルヒンジアキシスだと思われます。
ナソロジーの中心位の歴史は1920年代にMccollmがターミナルヒンジアキシスを考案した後は1962年にGrangerが顆頭は関節窩内の後方と上方の2点に固定されると考えられていますが誘導方法は明確ではありませんでした。この書籍は1967年の講演なので当時のLuciaが考える誘導方法であったと思われます。
1976年Occlusion Focus MeetingにおいてもLuciaのジグは有効な中心位への誘導方法だと結論付けられています。現在においても使い方によっては有効な中心位への誘導方法だと検証されています。但し、当時の書籍に掲載されている座位でオトガイを強く押す誘導方法では最後方位になってしまいます。