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咬み合わせの歴史
咬み合せの歴史 その51
少し専門的な解説です。
「咬み合せの歴史」を書くに際し、1911年に創立した大阪歯科大学の図書館が所蔵している咬合、顎関節、総義歯の書籍と関連する学会誌約350冊に加えて、「オクルージョンの臨床」第2版の訳者の川村貞行先生から頂いた1900年代初頭からのアメリカで発表された咬合に関する論文、初期のナソロジーの大家の舘野常司先生から当時のお話と資料を頂き、金属焼付けポーセレン開発者の桑田正博先生からも当時のお話と資料を頂きました。
これらの情報を年代別に分類分析し、咬合理論の経時的変化を踏まえてまとめています。
日本国内での咬合理論の歴史 ナソロジー ⑪
ナソロジー学会における中心位への誘導方法のその後
1989年保母先生の書籍としてインプラントの咬合として出版されます。この頃になるとナソロジーという文字が殆どなくなりますが、顎位の誘導方法以外の内容はナソロジーの理論が多く反映されているのでナソロジーの書籍だと判断しました。誘導方法はリーフゲージが使われています。1995年に出版された保母先生監著の「咬合学」では中心位への誘導は1984年の論文のバイラテラル法、オトガイ誘導法、アンガイド法の比較共にリーフゲージ、アンテリアジグが記載されています。
リーフゲージ、斜面のアンテリアジグ(左下の図)を使用する誘導方法は上顎下側面斜面に下顎前歯の接端が咬合するため下顎が後方へ押されてしまい中心により後方に誘導される結果になります。アンテリアジグが平らな面で下顎前歯が咬合する場合(右下の図)は咬筋、内側翼突筋によって顆頭は上前方へ押し付けられ中心位へ誘導されると「オクルージョンの臨床」第2版P.Dawsonに記載されています。このように、アンテリアジグでは下顎が後方へ誘導されるため従来の中心により後方になると分析されています。
1984年にバイラテラル法が最も優れた誘導方法だと記載されてから数年後の書籍で変更されていることは不明です。
オクルージョンの臨床;P.Dawson