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咬み合わせの歴史歯科治療
咬み合せの歴史 その53
少し専門的な解説です。
「咬み合せの歴史」を書くに際し、1911年に創立した大阪歯科大学の図書館が所蔵している咬合、顎関節、総義歯の書籍と関連する学会誌約350冊に加えて、「オクルージョンの臨床」第2版の訳者の川村貞行先生から頂いた1900年代初頭からのアメリカで発表された咬合に関する論文、初期のナソロジーの大家の舘野常司先生から当時のお話と資料を頂き、金属焼付けポーセレン開発者の桑田正博先生からも当時のお話と資料を頂きました。
これらの情報を年代別に分類分析し、咬合理論の経時的変化を踏まえてまとめています。
日本国内での咬合理論の歴史 ナソロジー ⑬
ナソロジー学会における中心位への誘導方法のその後
舘野先生にも確認したところ1980年以降のナソロジーグループにおける中心的な理論は1981年R.Slavicekが考案したシークエンシャル咬合理論で、オーストラリアン、ナソロジーとも呼ばれている咬合理論です。ナソロジーの咬合理論をベースにして著者がオーストラリア出身からこのように呼ばれていたと思われます。
ナソロジーの理論をベースに脳頭蓋系と神経筋機構と調和するために、成長・発育と共に順応、獲得した固体と調和させようとしたといわれる咬合理論です。特徴は、咬合様式が順次離開誘導咬合(Sequential functional guidance occlusion) といわれ、側方運動時、犬歯が主導的に犬歯から後方の歯牙を離開させる。このことが成長発育の過程で自然に獲得した咬合誘導路と考えた理論です。
2005年に出版された書籍は訳本でSAM咬合器を独自のインサイダルテーブルの調節性の咬合器を用いています。その特徴はインサイダルテーブルを上顎に取り付けられ、模型上でのワックスアップ法はナソロジーの理論でPK.Thomasの咬合面形態と咬合接触と臼歯からの修復が紹介されています。残念なのは、この書籍に臨床例の掲載はありませんでした。