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咬み合せの歴史  その54

少し専門的な解説です。
「咬み合せの歴史」を書くに際し、1911年に創立した大阪歯科大学の図書館が所蔵している咬合、顎関節、総義歯の書籍と関連する学会誌約350冊に加えて、「オクルージョンの臨床」第2版の訳者の川村貞行先生から頂いた1900年代初頭からのアメリカで発表された咬合に関する論文、初期のナソロジーの大家の舘野常司先生から当時のお話と資料を頂き、金属焼付けポーセレン開発者の桑田正博先生からも当時のお話と資料を頂きました。
これらの情報を年代別に分類分析し、咬合理論の経時的変化を踏まえてまとめています。
日本国内での咬合理論の歴史 ナソロジー ⑭
ナソロジー学会における中心位への誘導方法のその後
7034.jpg 誘導2.jpg
咬合器1.jpg 犬歯舌側.jpg
   
1980年以降のナソロジーグループにおける中心的な理論のシークエンシャル咬合理論で、オーストラリアン、ナソロジーとも呼ばれている咬合理論の2冊目の書籍が10年後の2014年に「咬合治療ナビゲーション」として出版されています。
順次離開のための特殊なインサイダルテーブルを使用し、臼歯から修復し犬歯を盛ることによって臼歯を離開させています。これらの点からナソロジーを基本とした流れを汲む理論です。
一般的な咬耗が犬歯、小臼歯、大臼歯の頬側咬頭に起こることから、それを再現しようとして特殊なインサイダルテーブルが考案されています。
個人的な見解ですが、1958年にダミーゴが自然人類学的立場から、約200万年前から人も含めた霊長類の天然歯の起源と進化を分析して犬歯がストレスブレーカーであることを発表し、それをナソロジーが取り入れたのに加えて成長過程を加えたもので同じような理論展開のように感じました。
中心位への誘導は座位で、オトガイ部を軽く触る誘導法です。この誘導方法では1976年Occlusion Focus Meetingで結論となった中心位とは違う位置になってしまうことに関する記載はありません。
また、この誘導方法の問題点に関しては1989年に出版されたオクルージョンの臨床 P.Dawson第2版に記載されています。座位の安静位は下顎が重力で下がり、それに従って関節頭も下方に下がるため臼歯が離開した状態の咬合位になることが解説されています。(下図)
安静位2.jpg
この書籍に掲載されている臨床例は2歯のCrの修復例だけという点も残念でした。この書籍以降、この咬合理論を見聞きすることはなくなりました。